1986年初版 四六判 P385 帯スレ、背折れ跡 カバーヤケ 小口時代シミ 遊び紙少ラベル剥がし跡
“いま、仏教が見えてくる。
仏教とインドとの関わり、釈尊の教え、大乗=空の教えなど、主要な仏教の思想を明快に語り、あわせてインド・中国・日本・南方パーリ仏教の世界をあますところなく説き明かす、すぐれた仏教思想入門!”(帯文)
目次:
はしがき
I
インド思想と仏教(原実、三枝充悳)
{苦―生苦ということ/産道を通過しない誕生/苦とはなにか/解脱をめぐって/慈悲ということ/業をめぐって/業からの脱出―苦行・恩寵・廻向/自己の問題}
仏教の思想(高崎直道、三枝充悳)
{体験と論理のあいだ/仏教と仏教思想史/苦と無常/無我をめぐって/自我と自己/執着について/とらわれ・とらわれのない/自燈明・法燈明/唯識の問題/ふたたび無我/縁起説について/四諦説/ふたたび縁起説/十二因縁/ふたたび無常・苦・無我/ニルヴァーナ}
空の哲学(矢島羊吉、三枝充悳)
{『空の哲学』にいたる道/空と直観/真理の大洋へ/実体の概念―自性との連関において/龍樹の縁起説/『中論』のテクストをめぐって/空と不空/無自性の問題/自性と縁起/龍樹における空/空と真理―二諦説について/空のはたらき/倫理と宗教―死の問題}
II
仏教学の確立(中村元、三枝充悳)
{一高の思い出―名物教授群像/宇井伯寿先生とインド哲学/ヨーロッパにおけるインド学の三つの系譜/インド学・仏教学研究の礎/宇井伯寿先生のこと/和辻哲郎先生の仏教研究/原始仏教研究について/仏教と仏教学/国際交流の必要性/学問ということ/仏教研究の時代的変遷/グローバルな視点を}
南方パーリ仏教の世界(水野弘元、三枝充悳)
{佐賀、山口、曹洞宗/長井真琴先生と立花俊道先生に学ぶ/パーリ研究の先駆/近代の南方仏教/パーリ研究の創始と発展/『南伝大蔵経』の刊行/『南伝大蔵経総索引』について/『心識論』の研究と『パーリ語辞典』のこと/『ダンマパダ』について/『法句経』の普遍性/現在の南方仏教/パーリ仏教研究の現状}
中国仏教をめぐる諸問題(結城令聞、三枝充悳)
{生いたち、剣道と仏教青年会/東京大学に学ぶ/村上専精先生、佐伯定胤先生のこと/南都での唯識研究/唯識について/中国の唯識/中国仏教について/天台智《豈+頁》をめぐって/華厳について/華厳と唯識/善導と浄土教/日本における中国仏教の受容/奈良の仏教/唯識から華厳への反論/論争の意義と重要性/浄土教/『教行信証』の信巻別撰論/法然と親鸞/浄土門の伝統}
日本仏教における諸問題(古田紹欽、三枝充悳)
{シシャーン国際会議とパウル・ティーメ先生/文献学について/西欧の学問の伝統/岐阜、京都から松江へ/東京大学印度哲学科へ/中国仏教研究へ/南宋と日本/日本仏教研究へ/鈴木大拙先生との出会い/大学の教壇に立つ/日本仏教思想史をめぐって/日本の浄土教/法然のこと/親鸞について/禅―栄西から道元へ/道元とその時代/日蓮をめぐって/一遍について/ふたたび日蓮と一遍/鎌倉新仏教の基盤/日本密教、寺檀制度のこと/キリスト教のこと}
あとがき