1976年初版 四六判 P339 帯背ヤケ カバー少ヤケ、背シミ汚れ、上端少イタミ 天時代シミ 扉ページ蔵書印消し跡
“漱石に託して明かす時代の精神!
近代日本の夜明け、圧倒的な西洋の衝撃のもと苦闘した留学生夏目金之助―その精神構造を把えながら、一つの時代を世界史的視野で展望。”(帯文)
目次:
【第一部 クレイグ先生と藤野先生―漱石と魯迅、その外国体験の明暗―】
まえおき
第一章 夏目漱石とクレイグ先生
{ロンドンの憂鬱/癪の種/least poor Chinese/頗る妙な爺/文学とliterature/『クレイグ先生』/『タイムズ』紙の故人略伝/一回一時間五志《シルリング》/先生の情合/槃桓磅ハク《石+薄》/たくましい歩行者/奇人/惜別}
第二章 魯迅と藤野先生
{東京の憂鬱/癪の種/「チャンコロ」/医学と文学/色の黒い、痩せた先生/惜別/日華親善の文学}
第三章 魯迅と漱石先生
{切なる共感/刺戟伝播/最良質の英国映画/異なる読後感/創造的模倣}
【第二部 漱石のあばたづら、鼻、白いシャツ―執筆衝動の裏にひそむもの―】
{奇妙で執拗な偏向/あばたづら/鼻/芥川龍之介の『鼻』/白いシャツ/一銭五厘/博士号/違反教師のはしり/『虞美人草』の主題/漱石の継子根性/金時計や銀時計/坊っちゃん的国民作家/「天が復活させる」}
【第三部 詩の相会うところ、言葉の相結ぶところ―漱石における俳諧とシェイクスピア―】
{きぬぎぬの別れ/東洋の詩 西洋の詩}
第一章 シェイクスピアと俳諧
{俳眼を以て西詩を見る/見捨てられた花/菫の詩的伝統/子羊物語に題す十句/ロマンス劇の世界/無人島の天子}
第二章 日本美の自己主張
{反西洋としての東洋/『草枕』の別世界へ/美におけるナショナリズム/俳句対西詩論/阿呆鳥/生悟り}
第三章 クレオパトラと藤尾
淑女という理想/秋風の一人をふくや/漱石の「新しい女」たち/我の女/俳句的文章美学/紫の恋/潜在した敬意と敵意}
あとがき