大正2年初版 菊判 P430 裸本 全体に経年によるイタミ、汚れ、ヤケ、時代シミ 裏遊び紙蔵印、少剥がし跡 末尾数ページ端僅破れ
旧字旧かな遣い。文語文
目次:
第一章 電気の所業
実在せざるものは興味なきが如し―電気の特性―電気の本性に関する不思議―電光―電気の為すべき多様なる義務の二三
第二章 電気に対する吾人の知識の進歩
東洋古代の記述―支那人の砂漠旅行に際し方向を指導する奇石発見―琥珀の不可思議なる特質―エリザベス女王侍医の重要なる発見―最初の電気機械―近世の巨大なる機械―欺かる器械の現時の用途
第三章 電池の発見
蛙の脚の痙攣に依りて何を発見せしか―二人の伊太利の教授に吾人の負ふ所大なり―電圧なる語の意味―電気を貯蓄し得るか―古の実験者は既に驚くべき経験を試せり―電導体と絶縁体との真意義
第四章 磁石とは何ぞや
一磁石の他磁石に及ぼす奇なる作用―磁石が其集団に在る電流に依りて受くる影響―思ひの儘に吸引反斥し得る磁石―一片の鉄を磁石付くる際に起る変化―或興味ある仮説を証明するに足るべき実験
第五章 磁石と電気との関係
鉄を用ひざる磁石―英国の一科学者の為せる簡単なる発見の結果―磁石及び電気の各引力に就いて二三の愚なる誤―鉄の分子の磁性を有する特性―永久運動の著しき例―物質を高熱する際に起る分子の変化―軍隊の比喩
第六章 電信の発明
一蘇格蘭人の面白き実験―最初の信号方法―最初の真に実用的なりし電信―亜米利加の競争者来る―電信信号を受けて之を記載すべき器械―電流を通ずるに完全輪道の必要なる理―今日単一導線を使用し得る理
第七章 現今の電報法
公衆用電信の開始―電報は殺人の逃走を追越す―電信事業の隆起を促せしもの―政府は之を支配せり―欺かれたる田舎の郵便局長―演説際中に演説を電報す―最大速度―電流の翳りし時に之を強くする信号―数多の信号を同一針金にて送り得―巧妙なる発明―電報を以て為す普通の書き方―電報のタイプライタ―偉大なる電信事事業―電話対電報
第八章 海洋横断の電信事業
前代の海底電線沈殿―大胆なる提議―最初の大西洋海底線―永年の事件続発―成功と失敗―グレート・イースターン号の事業―失はれたる海底線の捜索―通信法―驚くべき鋭敏なる機械―海底線の破壊―破損箇所の検出―古の海底電信料―海底線は普通の裸電線と全く性質を異にす―一青年の成功
第九章 電信事業に関する前代の二三の企画
百五十年以前に於ける蘇格蘭の一外科医の電信機発明―他の発明者―先駆者の困難事―実用電信の起源―三十本の連結線を一本に減ず―容易に満足したる英国政府
第十章 空間を通しての通信
ガリレーに看破せられたる古の手品師―興味ある昔時の実験―プリース氏の法―マルコーニ及び他の人々に拠って行はるゝ今日の方法―無線通信の重要―遠く海洋上にある友人への通信―亜米利加に於ける無線電報新聞紙―秘密を感受せん目的を以て無線電信機の調子を合はせる事―日露戦役に際して為せる実験―驚くべき無線電信に関する事件―無線無声の音楽
第十一章 自然界に於ける電気
フランクリン電を操縦す―聖彼得堡にて震死したる露西亜の一教授―種種の電光―誤想―雷鳴に於ける雨滴―病院にて瑞西山上の空気を作る―北極光及び磁気風―驚くべき電気魚―地震と火山
第十二章 興味ある電気の応用
電鈴の鳴る理―指示表の動く訳―寝坊に起きよと迫る目覚時計―自働火事警報―自働的温室―譎獪の盗賊も猶知らざる事―鉄道の信号方法
第十三章 電気の応用(続き)
電磁石を用ひし大起重機―電気は瓦斯に助を与ふ―軍艦上の電気―ギー・フォークスの話―大仕掛の爆発―水雷―弾丸の速度記載―電気時計―電気仕掛の船の速度計―電気の奇怪―電撃―テル・エル・ケビル戦報の速達―信用し難き電話―霧を払ひ除け得べきか
第十四章 電気と言語
言語とは何ぞ―電気は如何にして音を起すか―一牧師の有用なる発明―電話交換局の務―興味ある二三の思想―中央電池式―巧妙なる信号器―ホーラー
第十五章 無線電話
無線電信器に於ける受話器―往時の通話装置―光線に沿うての通話―日本の平行せる電線間の通話―最近の方法
第十六章 感応オイルの説明
感応とは何ぞや―感応コイルの原理―コイル内に起る現象―一比喩―近世の進歩
第十七章 眼に感ぜざる光
総て光はそれ自身眼に見ゆるものにあらず―X光線の発見を促せし古人の観察―如何にして生物体の骨格を見得べきか―眼に見えざる光線を眼に感ぜしめ得る法―X光線を生ぜしむる装置―レントゲン氏線の応用
第十八章 電燈の理
電燈の最初の考案―電気弧燈の発見―弧燈内に起る現象―白熱電灯を発明するに至りし道程―燃焼の真意義―エディスン氏の白熱電燈を発明せし最初の考―伝統と瓦斯との比較に対する普通の誤謬―面白き老嬢―人工的白昼
第十九章 機械的運動に依りて起されたる電気
有力なる電池の代用者―発電機の原理―交番電流―一比喩―何処より磁石に電流来るか―交番電流の利益
第二十章 電気に因りて起さるゝ動力
奇異なる機械―如何にして電気は発動機を動かすか―好箇の説明的実験―発電機を発動機と為し得―運動の源―一講義者の興味深き軽験―往時の思想―発動機は発電機を要す―一大利益―平静なる針金にて運搬せらるゝ巨大なる動力―今日の粗大なる法―未来の革命
第二十一章 電気鉄道
驚かされたる支那人―遠きエネルギーの源泉―動力地―動力は如何にして車台に至るか―危険は何処に在るか―電気鉄道―『活軌道』―一層の高速を要す―単軌式―電気車―運河の電気的通運―電気艇―ナイアガラ瀑布―動力の分配―ナイアガラ最近の発展
第二十二章 観測所に於ける電気
観測所を訪ふ記―風速の測定法―風の方向を常に記録に止むること―電気に依りて時間を一秒の一千分の一まで測定し得―遠隔の地に起りし地震を英国に於て自働的に記載せしむること―其器械の原理―気象学上の気の付かざること
第二十三章 電気と医療
往時の電気刺戟に対する誇大せられたる思想―第四世紀に於ける電気療法―近世の誇張広告―電気が医療上の助となる二三の例―甚だ恐れられたる疾病―遂に治することを得たり―患者の体内を透視―中心を外れたる心臓―他の指摘し得る臓器―一老婦人の失はれたる針―職場に於けるX光線―技師の用意すべき必要なる器械
第二十四章 電気とラディウム
誇大せられたるラディウムに関する世人の考―電気を以てラディウムの存在を検出し―ラディウムの発見せらるゝに至りし道程―其価格何故に斯く高きか―総ての物体は之を十分冷却する時は蛍光を放たしめ得―ラディウムの影写真―医家とラディウム―徐々に破壊しつゝある原子―吾人は卑金属を金と化する夢想を実現し得るや―百万なる数が如何に多数なるか―ラディウムの如何に極微量も之を検出し得る法―古来の問題たりし不断運動機は遂に解決し得たるか―ラディウムは常に電気を発生す―ラディウム自身がその周囲より常に高温なる理―総て物質は放射機能を有するか
第二十五章 電気と化学
水中より水素瓦斯の一泡の出づる現象に依りて何事を知り得るに至りしか―電気の物質に及ぼす影響―滑稽なる噂―デーヴィは真に可能ならしめたり―電気は自然界よりより新金属を獲取せしむ―化合物を電気にて処理する際に起るもの―珍奇なる反応―アルミニウムは廉価なり―電気鍍金法
第二十六章 炭鉱に於ける電気
エドワード第一世は石炭の使用を禁ず―石炭を得る最初の考―地下に機械を用ひたる最初の金―炭鉱下の歴遊―電燈と電索との地下に於ける設備―地下に小馬を使ふこと―電気的石炭採掘器の仕事―高さ十八吋の地下道を強力なる機関と共に行く―坑夫は労を省く機械の使用を剥奪せられたるか―電気応用旧坑再開と其利
第二十七章 加熱料としての電気
デーヴィの発見―電気爐―地上最高の温度―工業的電気爐―電気的に金属を融着すること―家庭に於ける電気熱―一新工業
第二十八章 電気と熱との相互関係
熱に対する吾人の感覚は変動し易し―往時熱に対する思想―熱の種々の源泉―熱は電気を起し、電気は熱を起す―一度の百万分の一までの温度測定し得る鋭敏なる寒暖計―温度を一度の千分の一まで測定し得る法―爐に石炭を入るゝことの注意を忘れたる時に自働的に通知せしむる器械―簡単なる実験に依りて能く電気と熱との間の関係を明らかにし得―吾人の子孫は今日吾人の最新式と考ふる方法を如何に観るなからんか―専門家を要すること益々切なり―エーテル波動に於いての二三の説明
第二十九章 手品師の助手としての電気
精神感応―最も驚くべき一銭の借金―如何にして聴衆の眼を眩すべきか―七十年前の魔術師―不思議なる家
第三十章 電気を測る法
今日吾人が物の量を測るに用ふる幼稚なる方法―電気に於ては何等人工的の標準なし―最も卓越せる天才は電気学の進歩に貢献すること多し―電気単位を定むる法―茫然たる哲学者―単位の説明―圧力及び流速を測る法―消費量を測る法―最初の電量計―今日の電気メートルの作用―エネルギーの消費量に対して支払する無難なる法と今日の正確なる電気的方法
第三十一章 二三の質問に答ふ
陰陽両電気の意味―如何なる方向に電流の流るゝかを知る法―面白き会話―人を殺す電流―人体の電気抵抗
第三十二章 電気に関する吾人の知識
電気とは何ぞや―『電子』の発明後吾人は不明の問題に解決を与へ得るに至れり―物質とは何ぞや―電気の帯電とは何ぞや―電流とは何ぞや―磁気とは何ぞや―空間のエーテル―光線とは何ぞや―不明の連鎖の発見―熱とは如何―化合とは如何―電子説の重要なること
第三十三章 結論
アラディンのランプも及ばぬ不思議―略史―十九世紀以前の遅々たる進歩―国際上の進歩―デーヴィとファラデ―沿革表―今日の成功―未来の発達
索引