黒い太陽 抑鬱とメランコリー ジュリア・クリステヴァ 訳:西川直子 せりか書房

1994年初版 四六判 P366 帯僅クスミ カバー上端少イタミ

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1994年初版 四六判 P366 帯僅クスミ カバー上端少イタミ

“ホルバイン、ネルヴァル、ドストエフスキー、デュラスの作品や臨床例のなかに《抑鬱とメランコリー》の様相をさぐり、その苦悩の転化を経て生まれる豊かな創造的宇宙を独自の精神分析理論によって鋭く洞察し、この陰鬱な世紀の病いに新しい創造の光を投げかける。”(帯文)

“失われた愛の対象への不可能な服喪がつちかう抑鬱の数かずを、本書はあつかっている。
悲嘆にくれた者は、言語という普遍的な絆を否認することで、意味を否定する。語る存在である人間にとって、意味とは生の意味にほかならない。抑鬱症を患う者は根源的な無神論者でありながら、神秘家でありつづける。情動に釘づけにされた彼にとって、苦痛と涙とは到達しえない完全な美のひそかな祖国なのである。
崇高なるものはメランコリーのなかに誕生する。その証拠は?死を描くミニマリスト、ホルバインがいる。暗黒の君主、ネルヴァルがいる。苦悩は人類の至高の目的であると信じ、赦しをもとめるドストエフスキーがいる。そして、悲しみの女、デュラスがいる。女性的抑鬱の数かずは彼女によって伝染性のものとなったが、それが今、精神分析医お寝椅子のうえで、語られたいくつかの物語をつうじて顕わにされてゆく。これを切り抜けるには?逃れることはできない。メランコリーの黒い太陽をまず直視しなくてはならないのだ〔原書裏表紙より〕”(表紙文)

目次:
【第一部】
I 美―抑鬱を病む者の別世界
II ホルバインの『死せるキリスト』
III ネルヴァル、「廃嫡者」
IV ドストエフスキー、苦悩のエクリチュール、赦し
V 苦悩の病い―デュラス

【第二部】
VI 対欝剤としての精神分析
VII パロールの生と死
VIII 女性の抑鬱ののさまざまな形
 {食人的な孤独/殺すか自殺するか―犯された過ち/処女なる母}

原註および訳註
訳者あとがき
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