2007年初版　四六判　P257＋索引P9　帯少イタミ　カバー少ヤケ、僅シミ汚れ

“いま鮮やかに甦る、怪奇幻想文学草創期の夢と熱情

怪奇幻想の文学、幻想と怪奇、世界幻想文学大系、現代怪奇小説集―少年時代、青年時代の私を育み、鼓舞し、素晴らしき文藝の魔界へと導いてくれた叢書や雑誌には、いつも其の人の名前があった。
　底知れぬ博識と、猟奇叛骨の気風と、巧まざるユーモアをもって、戦後日本の幻想文学シーンを先導してきた、大いなるオルガナイザー紀田順一郎。
　その足跡をみずから降りかえる本書は、伝説の時代を生きた人々の夢と成熟をまるごと封じ込めたタイムカプセルのごとき書物である。（東雅夫）”（帯文）

著者・紀田順一郎の学生時代からの読書遍歴に始まり、大伴昌司、平井呈一、荒俣宏といった人々との出会い、世界幻想文学大系の頃などの思い出とともに、当時の幻想文学界をめぐる状況を振り返る。
後半部には過去にさまざまな場で発表してきた、怪奇幻想文学に関する評論を再録する。

目次：
第Ｉ部　幻想書林に分け入って
　わが最初の境界
　限られたマイナーな領域
　『黒魔団』を読む女性
　大伴昌司とホラー・セミナー
　いまだに忘れられない収集の苦心
　天のときに恵まれた企画
　失敗に終わった雑誌
　輝ける邪悪の天球儀
　円環を閉じるにあたって

第ＩＩ部　幻想と怪奇の時代
　恐怖小説講義
　ゴシックの炎
　ゴシック・ロマンスとは何か
　ホーレス・ウォルポール―オトラントまたは夢の城
　メアリー・シェリー―造物主または闇の力
　エドガー・アラン・ポオ―神話の創造と崩壊
　“もう一つの夜”を求めて
　『Ｍ・Ｒ・ジェイムズ怪談全集」　解説
　日本怪奇小説の流れ

（付録）密室論
あとがき
書名索引
人名索引