未来の歴史　古代の預言から未来研究まで　ジョルジュ・ミノワ　訳：菅野賢治、平野隆文　筑摩書房

2000年初版　Ａ５判　P763＋索引P19　帯破れ、カバー背僅ヤケ、上部少イタミ

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2000年初版　Ａ５判　P763＋索引P19　帯破れ、カバー背僅ヤケ、上部少イタミ

「人間はどのように未来を予見してきたのか　〈未来への夢〉を一望する壮麗な歴史への旅
古代ユダヤの預言者、デルフィの神託、黙示録、占星術、ユートピア、カバラ、透視術、ＳＦ，未来学……
フランスを代表する歴史家が、太古の占術から現代の科学的予見までを該博な知識をもとに大胆な切り口で描く大著。」（帯文）

目次：
序
第一部　神託の時代
　第一章　古代民族における占術―未来への確信と神の保証　｛占術の普遍性と多様性／占星術の始原／古代近東における預言者思想／イスラエルの集団預言思想／真の預言者と偽の預言者／預言の成就と魔術／聖書の預言思想／メシア思想の発端／アーリア人、ケルト人、ゲルマン人、スカンジナビア人における運命論と占術／永劫回帰から指向性のある歴史の観念へ／占術の心理的、政治的有用性｝
　第二章　古代ギリシアの占術―哲学的な問いと政治的操作　｛神話と占術／古代ギリシアにおける占法／神託／デルフィと政治操作／シビュラ、現世離れの神託／科学的預言術としての占星／プトレマイオスとヘレニズム世界の占星術／占星術、占術、そして運命／占術の敵対者たち／占術の擁護者たち／政治工作、軍事工作の手段としての神託／予言の代替物としてのユートピア｝
第三章　古代ローマの占術―国家による独占体制　｛古代ローマの伝統―未来の主導権を握るために神々を骨抜きにしてしまうこと／古代ローマ人に利用されたエトルリアの腸卜／国家による占術の独占／異国の占術の浸透と元老院の抵抗／古代ローマ占星術の起源／ローマ内乱期における占術の流行／皇帝による私的占術の禁止／皇帝による統治の道具としての予言／運命論と「カルペ・ディエム」のあいだに引き裂かれた知識層／歴史家と戦略家―軽信から操作へ／占術に下された審判―キケロ『卜占について』／古代ローマの占術からキリスト教世界の占術へ｝

第二部　預言の時代
　第四章　政治的占術から黙示録的預言思想へ―初期キリスト教時代　｛ダニエル書と黙示録／ヨハネの黙示録―至福千年論的預言思想の基礎／ユダヤ教世界における預言思想の絶頂（紀元前二世紀から紀元二世紀まで）／初期キリスト教共同体における預言思想／キリスト教会と自由な預言思想―モンタヌス主義／異教の占術に立ち向かう教父たち／教父と占星術―留保つきの断罪／教父たちによるユダヤ・キリスト教預言思想の解釈―依然有効な知の手段／聖アウグスティヌスによる占術と占星術の悪魔視｝
　第五章　解き放たれた預言、その異端としての発展―十三世紀まで　｛目の前の未来を求めて―トゥールのグレゴリウスの証言／占い師と偽預言者の乱立／政治手段としての預言／占星術の曖昧な立場／紀元千年―いつもとなんらかわらぬ一年／十字軍と至福千年説―行動にうつされた預言／ドミニコ会、フランシスコ会における予言の理論と実践／聖トマス・アクィナスによる預言思想の統制／占星術をめぐる議論／ロジャー・ベーコン―キリスト教精神に資する占星術／進学者たちの困惑、一二七七年の断罪｝
　第六章　預言の乱用、通俗化、およびその逸脱―十四世紀-十五世紀　｛大災害と予言／教会の危機と預言思想の高まり（一二九二-一三〇三）／百年戦争、マーリン（メルラン）、占星術師、そして預言者たち／反キリスト到来の前兆としての黒死病／至福千年思想、共産制〈コミュニズム〉および黄金時代／教会大分裂と預言思想の爆発的流行（一三七八-一四一七）／教会大分裂に直面するピエール・ダイイ―預言から占星術へ／預言の政治的＝宗教的偏向―スペインの場合／ジャン・ド・ロックタイヤードと新しい預言／コラ・ディ・リエンツォからジャンヌ・ダルクまで―預言の通俗化｝

第三部　占星術の時代
　第八章　宗教的預言思想の趨勢とその凋落―一五世紀-十六世紀　｛新たな流行―預言書の収集／予言思想と政治権力／予言の弾圧の無効性／預言と黙示録的苦悩／預言と種々の社会運動―至福千年主義の支持者たち／ユートピアとアメリカ―預言思想の二つの変種／宗教的預言思想の衰退と当局の警戒心／民衆的占術／モンテーニュの懐疑主義｝
　第九章　占星術の勝利―十五-十七世紀中葉　｛占星術の両義性／十四世紀末の論争／十五世紀における占星術の高まり／攻撃と擁護―ピコ・デッラ・ミランドーラとシモン・ド・ファール／ノストラダムスの世紀／十六世紀における宮廷での占星術／万用暦とその中傷者／予見に必要な段階としての占星術／折衷的預言と霊感による預言思想の存続／予言、戦争、政治的操作｝
　第十章　占星術―十七世紀における社会・文化的な必要　｛占星術と新しい科学／フランスの宮廷における占星術／フランスにおける王権と占星術／イギリス大内乱期における占星術／至福千年主義的預言思想の存続―ジュリユーの場合／ボシュエから見た黙示録／未来の探求―占星術による序言、万用暦、前兆／占星術の社会的＝文化的な必要性｝

第四部　ユートピアの時代
　第十一章　周縁に追いやられる伝統的占術―十七世紀末-十八世紀　｛占星術―英国における王政復古と理性の犠牲（一六六〇-一七〇〇年）／預言と占術―その悪用の犠牲者／フランスにおける懐疑主義の高まり（一六八〇-一七二〇年）／占星術に反対するボシュエとフェヌロン／一六八〇年の彗星―占星術の崩壊を予兆するもの／民衆的次元へと追いあられた占術／存続する「変造」預言思想／十八世紀の預言と不安／啓蒙の時代の明暗―合理主義と照明説（イリュミニズム）｝
　第十二章　十八世紀、予言の新しい道―ユートピア、歴史学、人文科学　｛十七世紀、予言的歴史記述の危機、未来を前にした哲学者達の躊躇／ヘーゲル至福千年説の変種？／ユートピア―至福千年思想から科学主義へ／社会＝政治的企てとしてのユートピア／ユートピアと未来／『西暦二四四〇年』―夢、それとも悪夢／預言されたフランス革命―悪魔視、もしくは神聖視する意志／未来の開拓へ―確立、保険、および終身年金／未来への接近法の多様化｝
　第十三章　大衆時代の幕開け（Ⅰ）―十九世紀、大衆向け予言術の大流行　｛予言一色の世紀／民衆的予言術の発展と警察による監視／帝政期の予言／一八一五-一八四八年―トランプ占いの隆盛、その心理学的役割／トゥルノン街のシビュラ、ルノルマン嬢／十九世紀後半―動物磁気を用いた占術／宗教的預言思想の復興とその社会・文化的役割／民関与幻術の炸裂｝
　第十四章　大衆時代の幕開け（Ⅱ）―十九世紀の新しい預言者たち　｛ネオ・カトリシズムの預言者たち―キリスト教的人類に向けて／科学的ユートピアの預言者たち―協調的人類をめざして／科学・宗教混淆の預言者たち―動きはじめたユートピア／楽観主義的預言者たち―科学から芸術へ／幸福の預言者―自由主義経済学者と社会主義者たち／マルクス主義的至福千年思想／ＳＦの預言者たち―戦争消滅の予告／Ｈ・Ｇ・ウェルズ―ＳＦに対するためらいと疑念／エルネスト・ルナン―頽廃と超人の預言者｝

第五部　科学的予言の時代
　第十五章　悲観主義の蔓延―頽廃（デカダンス）と逆ユートピアの預言者たち　｛民主主義による頽廃―トクヴィルからアレヴィまで／文明の死―オズヴァルト・シュペングラー／ユートピア的楽観主義からＳＦの悲観主義へ／ザミャーチンとハクスリー―幸福への調整／ジョージ・オーウェル―「過去を支配する者は未来まで支配する」／経済学の予測と悲観主義／未来の歴史―不可能のシナリオ／宇宙物理学者の長期予想―開かれた未来か閉ざされた未来か？｝
　第十六章　未来の予言に未来はあるか？―二十世紀末の透視者、予言者と未来学者たち　｛占星術と超心理学の流行／その社会的役割／宗教的予言思想の増殖／秘教主義からニューエイジ運動の夢想へ／政治家に奉仕する占星術師、透視者たち／「今日の未来は、もはや昨日までの未来ではない」―科学技術による予言の当たりはずれ／歴史的懐疑主義と予言／「歴史の終わり」と「最後の人間」の予言者たち／未来研究と未来学の誕生／未来派研究の成果と逡巡―「退歩」の予言者たち｝

結論

巻末に註、訳者あとがき、索引を収録

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