平成11年 A4判 並製本 P229
関東民具研究会の共同研究報告書。
“式場や葬祭業者に外部化する以前、冠婚葬祭の宴会は当事者の自宅で行なわれてきた。その際に使用された膳椀等の食器は、日常使用のものより高価であり、かつ宴会出席者の人数分、最低でも二〇〜三〇客分を必要とした。そのような食器類を、一般庶民の誰でもが購入できたわけではない。所有者から借りたり、共同購入・共同使用などの対応がなされてきた。
この研究は、こうしたハレの食器の所有と使用について以下のような関心を共有し、「ハレの食器をどうしていたか」を問うものである
(1)所有形態の地域性・時代性。
(2)共有にみる村落社会の組織原理
(3)使用にみる「料理文化」の庶民への浸透”
(本書巻頭「はじめに」より)
目次:
はじめに
東京都
【概況】東京二三区の共有膳椀(岩野邦康)
【概況】北多摩地域の共有膳椀(大嶋一人)
【概況】南多摩地域の概況(金野啓史)
【概況】西多摩地域の共有膳椀(大藪裕子)
幕末の膳椀類と饗応料理 ―立川市・山中講中の例―(増田昭子)
椀倉の成立と終焉 ―府中市本宿の場合―(小野一之)
東村山の膳椀(大薮裕子)
講中と講椀 ―国分寺市旧国分寺村の事例―(大嶋一人)
清瀬市の膳椀(浅野久枝)
ある共有膳椀の歴史 ―八王子市小宮町ヨツヤガタコウジュウ所蔵文書から―(神かほり)
日野の共有膳椀(金野啓史)
神奈川県
【概況】ハレの食器の所有形態に関する神奈川県下の状況(大野一郎、加藤隆志、佐川和裕)
川崎市市民ミュージアム所蔵のハレの食器について(高橋典子)
川崎市多摩区長尾の共有膳椀 ―大谷戸講中を中心に―(竹内由紀子)
相模原市域の講中道具と祝儀・不祝儀の食物(加藤隆志)
及川地神講中の勝腕その他について(大野一郎)
講中共有膳椀 ―綾瀬市の場合―(小川直之)
ハレの食器と食事 ―神奈川県大磯町の事例―(佐川和裕)
埼玉県
【概況】埼玉県の概況(駒木敦子、三浦久美子)
秩父市久野那落合のドウグラの共有食器(厚香苗)
入間市域の共有膳椀 ―坊七人組膳椀組合の事例―(三浦久美子)
富士見市の共有膳椀(駒木敦子)
毛呂山町歴史民俗資料館所蔵の人寄せ用膳椀類について(平良宣子)
千葉県
【概況】千葉県北西部地区の共有膳椀(我妻宏美)
千葉県野田市のオビシャにおける共有膳椀 ―船形地区のオビシャ行事を中心に―(我妻宏美)
山梨県
【概況】山梨県のハレの食器について(神かほり、竹内由紀子)
河口湖町大石の共有膳椀(浅野久枝)
〈資料編〉 データベース「紀年銘のある膳椀類」(編:大薮裕子、亦野あゆみ)
執筆者一覧
編集後記