2023年 A5判 P307 カバー僅スレ
“すべての愚かさは、主体に関するある二重の機能不全と結びついた緊張関係にある。
「私」が「自己」でないときにいつも、「私」は愚かであり、「私」が「自己」であることを信じているときにも、「私」は愚かである……
バルトは知性の欠如を指摘されたのだろうか?
バルトは悲劇の主人公のように、知の思い上がりの報いを受けたオイディプスのように、自らの傲慢の報いを受けたのだろうか?
この問いに対する、可能な限り変化に富んだ解答を提示する。
フランス文学史において古くから取り上げられてきた「愚かさ」というテーマをめぐり、政治や旅や文学、そしてテクストなどの多岐にわたる視点から、バルトにおける、バルトのいう、そしてバルト自身の「愚かさ」に迫る!”(カバー裏紹介文)
目次:
序論
第一章 「私自身の愚かさを探究すること」
パノラマ
「私自身の愚かさ」
言語は「ファシスト」である
「……私は見る、私は感ずる、ゆえに、私は気づき、見つめ、考えるのである」
「光のある間に働け」
第二章 ステレオタイプの愚かさ
ブヴァールとペキュシェの愚かさ
言語活動の狂気
恋する者の狂気
作家の狂気
「こんなのは言葉でしかないことをよく知ってるんだ、それにしても……」
第三章 「書かれた」身体の愚かさ
修辞学と解剖学
廃棄物
「声のきめ」
声の不純さ
書かれた声
第四章 文学における愚かさ
体系
「あなたの足元で息をつく」
バルトについて
独断論的な英雄
世界との調和
変形
第五章 政治における愚かさ
出来事
「史的唯物論の名において」
「フランスについてのある種の観念」と文学についてのある種の観念
「〈民主主義〉について気むずかしい観念を持つこともできます」
第六章 旅における愚かさ
旅行者の同意
中国を好きになる?
同意のレトリック
旅行者の空想
フィクション礼賛
終わりに……
原注
主要参考文献
ロラン・バルト著作索引
人名・作品名索引
訳者あとがき