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昭和56年 A5判 P432 帯背ヤケ、少時代シミ カバー少ヤケ、端少イタミ 天少時代シミ
洞窟住居や樹木を利用した住居、古代遺跡にみられる記念碑的巨大建造物、移動式住居、そのほか世界各地の風土建築、現代の建築にもみられる地域性など、該博な知識をもちいて論じる。
“この書物が教えてくれるのは、およそ「建築」といういとなみが万人のものであり、かつ万人のためのものである、ということであろう。じっさい、「住む」ということは、動物段階からはじまる生存のための基本的技術であって、それは一種の本能にもとづいたいとなみ、というべきものなのである。 「建築家」という、特別な職業人が出現したのは、たかだか、ここ数世紀のことにすぎない。
人間は、誰でも、ものをつくる能力をもっている。建物もその例外ではない。人間はその常識の範囲内で、営々と「建築」をつづけてきたのであった。この本は、「建築」の原点としての常識と、そして無名の人間の卓抜な着想とに照明をあて、そのことによって、そもそもわれわれにとって「建築」とはなにか、を逆説的に語りかけてくれているかのようなのである。 加藤秀俊”(カバー袖紹介文)
“風土建築は驚くほど長い生命を保つが、それは厳しい試練によって得られた知識が外界に対する半ば本能的な反応を通して、たえず新たにそそぎこまれているからだ。いわゆる原始人たちは、環境の現実に直面しても決して向こう見ずな抵抗をしなかった。
とりわけ彼らは環境を支配しようとしなかった。風土建築の容赦し難い弱点が、その定常性にあることは認めざるを得ない。それは、衣服や正統的建築と違って、一時的な熱中や流行にしたがうことはなく、ただ目に見えぬくらいゆっくりと時につれて進化していく。(脱線しがちの序論より)”(カバー裏側袖紹介文)
目次:
脱線しがちの序論
図版についての覚え書
第一章 洞窟を讃えて
第二章 野性の建築
第三章 建築が遊戯であった時代
第四章 移動する建築
第五章 穀物と死者の倉
第六章 城塞
第七章 消えゆく風土性
第八章 正当に評価されていない風土建築
第九章 ささやかな部分の重要性
第一〇章 ミノタウロスの呼び声
第一一章 不法占拠への讃歌
第一二章 積木欲望
「建築家なしの建築」についての覚え書
訳註および原註
訳者あとがき