昭和48年 四六判 P331 函および本体表紙スレ、少ヤケ、少汚れ 小口・見返しヤケ、汚れ P25少シミ汚れ P51、287〜308角少折れ跡
大正11年に京文社から刊行された松永延造の小説を、桃源社が復刊。
かつて精神病科の助手として働いていた人物・下条の手記あるいは自伝風小説という体裁で書かれ、患者や関係者たちとの対話・自省的思索・恋愛の顛末などが綴られる表題作『夢を喰ふ人』と、その下条と関わりが深く、手記の中にも登場する神学博士・樫原の視点から補足・訂正された『眼を求める人』の二篇を収録。
巻末に草野心平による解説、著者年譜を付す。
目次:
紹介者の序言
【夢を喰ふ人】
一 儘しい舌/二 夢に於ける願望への接近及び通過/三 貧困に対する単なる学者的興味/四 個人的饑/五 小山の上での対話/六 枯れんとする宿主/七 蝕める智慧/八 継子の如き実子/九 半分から一つを創り出す/一〇 同一の時間に於ける多くの異った考え/一一 久遠の女性/一二 崇りの預言/一三 夫婦の如き母子/一四 暗号の世界/一五 夜空と螢草/一六 天と点―或は視覚の悪性涅槃/一七 一束にした苦患/一八 師傅の如き下僕/一九 ジキタミン/二〇 過度の改造/二一 何処へ行くのか./二三 子供等よ。彼処へ行こう/二三 誤診/二四 星無き砂漠/二五 小心より起る大胆/二六 痒みを与うる書物/二七 清貧と艶冶/二八 勝利の朝/二九 移転/三〇 白鵠と狐/三一 灰を飲むポンペイ人
【眼を求める人】
紹介者の序言
一 父親の先見/二 先へ旅立つ眼/三 恐怖のために鈍る眼/四 嘆く笛/五 絶えず更新する心/六 集団の舌/七 極楽の仮現/八 死の書/九 蝶が中心となる涅槃/一〇 天使に抱かれた娘の手記/一一 けがれた時間/一二 腹中での賭博/一三 知る可らざる事/一四 下条氏との別れ/一五 終局
不思議な傑作「夢を喰ふ人」と松永延造(草野心平)
松永延造年譜(篇:辻淳)