1989新装版3刷 A5判 P230+索引P6 カバー僅イタミ 本体表紙時代シミ多
“著者は画家パウル・クレーの一人息子で、元来の職業は舞台演出家だったが、1948年以来クレーの故郷ベルンに住み、父である画家が遺した夥しい作品やクレーに関するあらゆる種類の資料の収集・管理・研究にあたっている。彼による父クレーの生涯と作品に関する評伝が本書である。
本書の母胎になっているのは言うまでもなく著者が父についてもっている思い出と愛情である。クレーの生活と制作の実際について、この著者以上によく知っている人は他にないだろう。しかし主観的告白に陥るのを避けるために、著者は自己の記憶を客観的記録によって裏づけ、豊富な資料を縦横に駆使して画家の姿を描き出し、遺作保管者にふさわしい綿密な考証を行っている。
さらに本書には画家がその妻をはじめ、父や姉や息子に宛てた未発表の多くの手紙が収録されていて、それらは家庭人としてのクレーの姿を浮びあがらせると共に、『日記』とならんでわれわれをクレーの内的世界に導く貴重な手がかりを提供している。また家族宛の手紙のほかに、カンディンスキーやフランツ・マルクなどとの往復書簡が発表されており、これらの友人たちとの交わりの叙述は、バウハウスを中心とする芸術運動の記録として美術史的にも興味ある資料である。その他、クレー自身が書いた自伝的覚書や、クレーの姉の手になる回想や、『創造の信条告白』の最初の草稿など、本書が含んでいる多くの未発表の資料は、著者自身の思い出と共に、この書物に特別の重要性を与えている。”(カバー裏紹介文)
目次:
画家への歩み
生家と家族
クレーの創作における主題
演劇と音楽
動物
ユーモアと哲学
風景
観相
建築
戦争と破局
バウハウスにおける講義
様式の変化と《集合概念の連作》
作品総目録
ベルンのパウル・クレー財団
作品分布
クレー年譜
図版目次
写真目次
訳者あとがき
索引