1965年　Ａ５判　P391＋索引P7＋口絵　函スレ多、汚れ　本体小口時代シミ　両見返し剥がし跡

ヨーロッパの18世紀後半以降の建築、芸術からそれぞれの時代の精神性およびその変遷を読み解き、19、20世紀の芸術を「中心」「人間像」を喪失したものと位置づける評論。

目次：
凡例
序論　｛テーマ／方法／方法の限界｝

【第Ｉ部　徴候】
第一章　新しい主導的な課題
　｛古い総合的課題の〈衰え〉／風景式庭園／建築的 モニュメント／博物館／実用建築と住宅建築／劇場／博覧会／劇場と博覧会／機械の家／概観｝

第二章　失われた様式を求めて
　｛様式混乱の原因／すべての課題は同等の権利を主張する／最初の革命建築における同等化の要求／様式の妥協―ネオヘレニズムとネオ・ゴシック／様式の多元論／最初の〈新即物主義〉／全般的な〈復古〉現象としてのネオ・ルネサンス／技術的建築の興隆／第二次革命における同等化―〈新建築〉／反動―仮面としての新古典主義／新しい多元論の始まり／一九世紀及び二〇世紀の様式上の党派｝

第三章　諸芸術の分裂
　｛純粋な庭園／自律的な建築／純粋な彫刻／下絵／純粋な素描とシルエット／純粋な絵画／絵画から建築的な要素の排除／見えるものだけに限られた絵画／〈絶対的な〉素描、〈絶対的な〉絵画、彫刻／〈絵〉の分解による生成物／総合芸術の死／図像解釈学の死／装飾の死／芸術の境界の消失｝

第四章　建築に対する攻撃
　｛庭園革命、建築の退位／人工的な廃墟／建築に反対する最初の（無意識的な）革命／革命は地下で進行してゆく／建築に対する装飾の反抗／建築に反対する第二次革命―地盤の否定／不安定な〈建築〉／建築は廃止される｝

第五章　猛威を振う混沌
　｛絵画上の革命／悪魔（ゴヤ）／孤独な人間（C.D.フリードリヒ）／ゆがめられた人間（カリカチュア）／世界の無意味さ（グランヴィル）／純粋な視覚（セザンヌ）／大声で叫ぶ絵（ポスターの問題）／猛威を振う絵画と混沌／全般的な衰退状態における混沌｝

第六章　断片の意味
　｛トルソ｝

【第ＩＩ部　診断と経過】
第七章　中心の喪失
　｛〈より高度の種類の考察〉／中心から向こうへ／ヒューマニズムから向こうへ／人間から向こうへ／人間像の喪失／人間とその世界に逆らって／非有機的なものへの下降／混沌たるものへの下降／病気の類比｝

第八章　〈自律的〉人間
　｛〈原因〉の問題について／障害は全体的なものである／自律的芸術と自律的人間／障害の構造｝

第九章　現代の根源について
　｛理神論とその結果／平静な汎神論／反有神論／障害の原因／その他の因子｝

第一○章　近代芸術の先駆者
　｛後期ロマネスクと悪霊主義／ボスと地獄界／マニエリスムスと死の近さ／ブリューゲルと人間侮蔑／イギリス芸術術の性格／概観｝

第一一章　一八世紀の三つの芸術革命
　｛〈ロココ〉／イギリスの役割／フランス革命／概観｝

第一二章　芸術の〈解放〉から芸術の否定へ
　｛運動の焦点／病気の経過／経過の担い手／現代｝

【第ＩＩＩ部　予後と決意】
第一三章　時代の評価について

第一四章　近代芸術の評価について
　｛芸術的基準／人間的な基準／極端論者の弁護について／具体的な批判について｝

第一五章　ヨー口ッパ芸術の第四段階としての近代芸術
　｛第一期神―支配者　ロマネスク以前と〈口マネスク〉（五五○-一一五〇）／第二期神人〈ゴシック〉（一二四○-一四七○）／第三期神人と人神の如き〈人間〉　ルネサンスとバロック（一四七〇-一七六〇）／ゴシックとルネサンス・バロック／第四期自律人　〈近代〉(一七六〇-？)／四つの時期の比較について｝

第一六章　世界史の転回点としての近代
　｛文化の老化現象／非人間化／世界的な広がり／開かれた可能性｝

第一七章　予後
　｛芸術の分野における局面／物質文化の分野における局面／知的分野における局面／精神的なものにおける局面｝

結論
　｛覚悟｝

あとがき
第四版への付記（一九五一）
　｛四種の芸術観察法｝
第七版への付記
　｛現実と真実｝

注
解説（森洋子）
訳者あとがき
人名索引