1990年10刷 四六判 P359 カバー端僅イタミ 天少汚れ 裏遊び紙上角折れ跡、1ミリ程度の破れ
“「恋するわたしは狂っている。そういえるわたしは狂っていない。わたしは自分のイメージを二分しているのだ。自分の眼にわたしは気のふれたものと映る(わたしは自分の錯乱のなんたるかを識っている)のだが、他人の眼にはただ変っているだけと映るだろう。わたしが自分の狂気をいたって正気に物語っているからだ。わたしはたえずこの狂気を意識し、それについてのディスクールを維持しつづけている」
ロラン・バルトと恋愛、これはまことに魅力的な組み合せである。複雑微妙な恋愛の諸相を分析し、その内的宇宙を開示するのに、彼以上の適任者はいないであろう。
本書は、バルト自身の体験をはじめ、友人との会話、『若きウェルテルの悩み』からニーチェ、ラカン、禅など、さまざまなテクストを自在に引用、あるいは潜ませて展開されている。不在、共苦、肉体、沈黙、夜など、バルト一流の断章形式によって十全に表現された、これら恋する者たちのディスクール=エッセーはまさに、恋愛にかんする詩的な百科全書、現代の〈恋愛論〉といってもよかろう。”(カバー裏紹介文)
目次:
このような書物が……
この書物はどのように作られているか {1 フィギュール/2 順序/3 出典}
S'abimer 底なしの淵に沈む/Absence 不在/Adorable 素晴らしい/Affrmation 肯定/Alteration 変質/Angoisse 苦悩/Annulation 無力化/Ascese 苦行/Atopos アトポス/Attente 待機/Cacher 隠す/Cases 所を得る/Catastrophe 破局/Circonscrire 制限する/Coeur こころ/Comblement 充足/Compassion 共苦/Comprendre 理解する/Conduite 行動/Connivence 共謀/Contacts 接触/Contingences 不測のできごと/Corps 肉体/Declaration 告白/Dedicace 奉献/Demons 悪魔/Dependance 服属/Depense 消費/Derealite 脱現実/Drame ドラマ/Ecorche 生皮を剥がれた者/Ecrie 書く/Errance 彷徨/Etreinte 抱擁/Exil 追放/Facheux 腹だたしさ/Fading フェイディング/Fautes あやまち/Fere 祝祭/Fou 狂人/Gene 困惑/Gradiva グラディヴァ/Habit 服装/Identification 同一化/Image イメージ/Inconnaissable 知りがたい/Induction 誘導/Informateur 報告者/Insupportable 耐えがたい/Issues 出口/Jalousie 嫉妬/Je-t-aime わたしは・あなたを・愛しています/Langueur 憔悴/Lettre 手紙/Loquele 多弁/Magie 魔法/Monstrueux 怪物のような/Mutisme 沈黙/Nuages 雲/Nuit 夜/Objets オブジェ/Obscene みだらさ/Pleurer 泣く/Potin うわさ話/Pourquoi なぜ/Ravissement 拉致/Regrette 故人/Rencontre 出会い/Retentissement 反響/Reveil 目覚め/Scene いさかい/Seul ひとり/Signes 記号/Souvenir 追憶/Suicide 自殺/Tel あるがまま/Tendresse やさしさ/Union 合体/Verite 真実/Vouloir-saisir 占有願望
出典リスト―感謝をこめて
訳者あとがき