2016年 四六判 ソフトカバー P403+索引ほかP40 帯付
『ダブリナーズ』出版100年記念論集
神話、伝説、歴史、文学作品などの先行テクストをふまえ多くの寓意やシンボルを含むジョイスの短篇小説集『ダブリナーズ(ダブリン市民)』。収録される15篇それぞれに研究者たちが論文を寄せる。
目次:
序 はじまりのジョイス ―『ダブリナーズ』への誘い(吉川信)
第一章 「姉妹たち」 一九○四年の「姉妹たち」、あるいは一一〇年のパララックス(金井嘉彦)
第二章 「遭遇」 不思議の国の少年、そして彼がそこで出遭ったもの ―『不思議の国のアリス』の変奏としての「遭遇」(小島基洋)
第三章 「アラビー」 「アラビー」の死角 ―blindnessをめぐって(桃尾美佳)
第四章 「エヴリン」 難を逃れたエヴリン ―フランク女衒説再考(奥原宇)
第五章 「レースの後」 レースの「跡」 ―「レースの後」の余計/予型論(滝沢玄)
第六章 「二人の伊達男」 「二人の伊達男」における語り手と登場人物の共犯関係(丹治竜郎)
第七章 「下宿屋」 ポリー・ムーニー、あるいは謀略のタイピスト ―「下宿屋」における大飢饉後の晩婚化と女性の就労
第八章 「小さな雲」 晴れのち曇り、所によって雨 ―「小さな雲」の気象学(横内一雄)
第九章「複写」 ゼロックス・メカニクス ―「複写」の機械式韻文(南谷奉良)
第十章 「土」 リアリズム批判で読む「土」 ―「物語」は超えられたか(坂井竜太郎)
第十一章 「痛ましい事件」 亡霊の声に耳を澄ますこと ―「痛ましい事件」の憑在論的読解(小林広直)
第十二章 「蔦の日の委員会室」 一幕劇としての「蔦の日の委員会室」(戸田勉)
第十三章 「母親」 舞台裏のArtisteたち ―「母親」と音楽会評(平繁佳織)
第十四章 「恩寵」 グレイス(“Grace”)のダブリン的受容(木ノ内敏久)
第十五章 「死者たち」(一) 「死者たち」における亡霊の明かりと呼びかけ ―心霊主義を中心に(中嶋英樹)
第十六章 「死者たち」(二) 「死者たち」にみるカトリック中流階級の諸相 ―ウエスト・ブリトン/大学問題/アイルランド西部(河原真也)
第十七章 「死者たち」(三) 死者たちの寛容 ―ジョイスの抒情のアポロギア(吉川信)
あとがき
執筆者略歴
引用・参考文献一覧
索引 {ジョイス作品・登場人物索引/一般人名索引/一般事項索引}