2008年初版　文庫判　P480　小口からページ端にかけてヤケ

“書評には流儀がある。澁澤流の書評は、時に厳しく時に偏愛的に書物の間を逍遙しながら、簡潔にその要諦を示し、一瞬の独自な世界をつくりあげていく。一九五八年から最晩年の一九八七年にかけて発表されたおびただしい数の書評を集大成した本書は、澁澤龍彦による時評とも、澁澤自身の軌跡とも読める。待望の産オリジナルアンソロジー。”（帯文）


目次：
【日本文学】
吉行淳之介『男と女の子』／大江健三郎『日常生活の冒険』／中原弓彦『汚れた土地』／石原慎太郎『行為と死』／『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著／『瘋癲老人日記』谷崎潤一郎著／『夷斎遊戯』石川淳著／『安西冬衛全詩集』／『午後の曳航』三島由紀夫著／『花田清輝著作集』に寄せて／『形而情学」加藤郁乎著／『岩田宏詩集』／『少年愛の美学』稲垣足穂著／『僕のユリーカ』『東京遁走曲』稲垣足穂著／『ヒコーキ野郎たち』稲垣足穂著／『夢野久作全集』第一巻／『骨餓身峠死人葛』野坂昭如著／『天人五衰』三島由紀夫／金井美恵子『兎』書評／中井英夫『悪魔の骨牌』書評／鷲巣繁男『詩の栄誉』／高橋睦郎第三詩集に寄せて／高橋睦郎詩集『私』／中田耕治『ルクレツィア・ボルジア』／『球体感覚』以前／石川淳『六道遊行』／種村季弘『山師カリオストロの大冒険』／不真面目人間の栄光と悲惨　種村季弘　『詐欺師の楽園』／平出隆『胡桃の戦意のために』

【日本の芸術・文化その他】
東野芳明『パスポートNo.328309』／『天使論』笠井叡著／巖谷國士『シュルレアリスムと芸術』『幻視者たち』／「絵金　幕末土佐の芝居絵」評／磯田光一『殉教の美学』／大岡信『眼・ことば・ヨーロッパ』／『美の襲撃』三島由紀夫著／飯島耕一『アポリネール』／『ルネサンスの女たち』塩野七生著／松田政男『薔薇と無名者』／中野美代子『中国の妖怪』／悪魔憑きと悪魔祓い 細江英公　『鎌鼬』／「死の谷」のスフィンクス　篠山紀信『NUDE』評／細江英公『ガウディの宇宙』／百五十年の歴史をたどる　『写真の見方』を読んで／久野昭『神と悪魔　―実存倫理の視界』／神山圭介『盗賊論』／『魔女と科学者』平田寛編／吉村博任『泉鏡花　―芸術と病理』／『ヨーロッパ歴史紀行』堀米庸三著／木間瀬精三『死の舞踏』／『装幀＝菊地信義』／河村錠一郎『コルヴォー男爵　―知られざる世紀末』

【外国文学】
『ラディゲ全集』／『アレキサンドリア四重奏』頌／『黒い本』（河野一郎訳）　『ブラック・ブック』（福田陸太郎訳）ローレンス・ダレル著／『ハドリアヌス帝の回想』マルグリット・ユルスナル著（多田智満子訳）／『山猫』ランペドゥーサ著（佐藤朔訳）／『ロリータ』ウラジミール・ナボコフ著（大久保康雄訳）／『ロベルトは今夜』ピエール・クロソウスキー著（遠藤周作・若林真訳）／『再説・ロベルトは今夜』／『マンク（破戒僧）』マシュー・G・ルイス著（井上一夫訳）／『ユビュ王』アルフレッド・・ジャリ著（竹内健訳）／『大いなる自由』ジュリアン・グラック著（天沢退二郎訳）／『転身物語』オウィディウス著（田中秀央・前田敬作訳）／『ラモーの甥』ディドロ著（本田喜代治・平岡昇訳）／『マダム・エドワルダ』ジョルジュ・バタイユ著（生田耕作訳）／『有罪者』ジョルジュ・バタイユ著（出口裕弘訳）／『ブリキの太鼓』ギュンター・グラス著（高本研一訳）／『魔術師』J・ファウルズ著（小笠原豊樹訳）／『大鴉』E・A・ポオ詩　G・ドレ画（日夏耿之介訳）／ドミニク・フェルナンデス『シニョール・ジョヴァンニ』他

【外国の芸術・文化その他】
瀧口修造編『エルンスト』／『美学入門』ジャン・パウル著（古見日嘉訳）／『芸術家の運命』エレンブルグ著（小笠原豊樹訳）／『ザ・ヌード』ケネス・クラーク著（高階秀爾・佐々木英世訳）／ジョルジュバタイユ『文学と悪』（山本功訳）／『・レヴィンゾーン『心臓　―この未知なるもの』／『ジェラード・ソーム氏の性の日記』コーリン・ウィルソン著（磯村淳訳）／『エロスの涙』ジョルジュ・バタイユ著（森本和夫訳）／『千夜一夜の世界』リチャード・F・パートン著（大場正史訳）／『西洋古典好色文学入門』フォルベルク著（大場正史訳） $25
『性の社会学』F・ヘンリックス著（巻正平訳）／『心の話』ジ ン・『・ウィルソン著（宮城音弥訳）／『武装せる予言者トロツキー』ドイッチャー著（田中西二郎他訳）／ダニエル・ゲラン『エロスの革命』／モーリス・ブランショ『ロートレアモンとサド』／『四運動の理論』フーリエ著（巌谷國士訳）／『ネロ』ジェラール・ヴァルテル著（山崎庸一郎訳）／『象徴主義と世紀末芸術』H・H・ホーフシュテッター著（種村季弘訳）／『錬金術』『・ベルヌーリ著（種村季弘訳）　『薔薇十字の魔法』種村季弘著／『文学におけるマニエリスム』G・『・ホッケ著（種村季弘訳）／ルネ・マリル・アルベレス『二十一世紀への文学』／ミシェル・フーコー『狂気の歴史』／アルヴァレズ『自殺の研究』

【快楽図書館・文庫本】
快楽図書館
　｛フランク・ハリス『わが生と愛』／山名正太郎『ひげ』／遠藤周作『狐狸庵閑話』／モーリス・ズメード『愛の作法』／ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』／吉行淳之介『浮気のすすめ」／佐野洋『透明受胎』／河原淳『男性センス学』／倉橋由美子『聖少女』／ジョルジュ・ランジュラン「蠅」／樋口清之『恋文から見た日本女性史』／シュルマン『ハーロー　―その異常な愛と性』／城市郎『続・発禁本』／野坂昭如『弱者の悪知恵』／堀口大學詩集『エロチック』／柴田錬三郎『毒婦奇伝』／宇能鴻一郎『楽欲（ぎょうよく）」／ドンレヴィー『赤毛の男』／L・スレーター『世界一のプレーボ　―アリー・カーンの生涯』／円山雅也『SEX　どこまでが罪か』／竹中労『美空ひばり　―民衆の心をうたって二十年』／佐久間英『珍姓奇名』／北杜夫『どくとるマンボウ途中下車』｝

文庫本
　｛フーリエ『四運動の理論』／ネルヴァル『暁の女王と精霊の王の物語』／J・G・バラード『結晶世界』／シラノ・ド・ベルジュラック『日月両世界旅行記』／セルジュ・ユタン『錬金術」／『アンデルセン童話集』｝

【推薦文・序文】
『眺望論』のために／『栗田勇著作集』／堂本正樹『男色演劇史』／『堂本正樹の演劇空間』／笠井叡『神々の黄昏』／愕然と呆然／神話のインターナショナリズム／『佐伯俊男画集』／イクヤ歌留多のために／高橋英夫『詩人の館』／アントナン・アルトー全集のために／池田満寿夫・全版画作品集のために／日本古典文庫を推薦する（現代思潮社版『新撰日本古典文庫』））／ダンディズムとフランス料理（『日影丈吉未刊短篇集成』）／中井英夫について
推薦文
　｛ラヴクラフト傑作集／アルフォンス・アレ『悪戯の愉しみ』／ジョイス・マンスール『充ち足りた死者たち』／ヴィリエ・ド・リラダン全集／ネルヴァル全集／メリメ全集／小説のシュルレアリスム／ヘルメス叢書／齋藤磯雄『近代ふらんす秀詩鈔」／倉橋由美子全作品／稲垣足穂作品集／池田満寿夫『美の王国の入口で』／岸田秀『ものぐさ精神分析』／多田智満子『鏡のテオーリア』／花田清輝全集｝
『イメージの博物誌』
推薦文六篇
　｛旅行家ミショー（『アンリ・ミショー全集』）／イノサンスの怪物（『オスカー・ワイルド全集』）／神の沈黙（『メルヴィル全集』）／大正文化の夕映え（『日本児童文庫』）／ボナ個展SPIRA MIRABILIS DE BONA／四谷シモン個展｝

ベアリュ讃／堂本正樹『能・狂言の芸術』／遠近法の小説（『ヘンリー・ジェイムズ作品集』）／ピエール・クロソウスキー『バフォメット』／マリオ・プラーツ『肉体の死と悪魔』／生きた知識の宝庫（「廣文庫」推薦文）／金子國義画集『エロスの劇場』／島谷晃画『おきなぐさ』／小川熙『地中海美術の旅』／レーモン・ルーセル『ロクス・ソルス』／内田愃詩集『航海』跋／『迷宮としての人間』（中野美代子著）の序／杉田總『龍神淵の少年』序／潜在意識の虎『動物の謝肉祭』序／『幻想のラビリンス』序／植島啓司『分裂病者のダンスパーティ』序

解説　―その読書のまなざし（平出隆）