1983年11刷 四六判 ソフトカバー P276 ビニールカバー端少折れ跡 本体表紙背から端にかけて少ヤケ 天時代シミ
“訳詩の苦心と付註の解釈の見事さとを以て鳴る戦後訳詩集中の名品
詩人のことばは空の下の、あるいは季節のなかの肉体であり、生きている。安東氏の訳はそれをみごとに日本語にうつしかえているといえよう。柔軟な感覚をもつだけでなく、“読み”の深い訳者にしてはじめてないするものが、このエリュアール訳詩集の決定版である。状況論のびまんする昨今、どんな人にも本書の味読をすすめたい。”(帯文)
目次:
【義務と不安(全、付 他人の笑い)】
(いろんなことがある)/誠実/平凡/刑1/刑2/軽やかに/快楽/《ぼくはこの詩が好きだ》/必要なもの/《ぼくは何もすることができない、ぼくには何も見ることができない》
他人の笑い
{(ぼくは、ぼくは断言する……)/かくも陽気なパリ!/ぼくらの死/雨/黄昏/目的へ}
【愛すなわち詩(全)】
最初に
{1 (大声で)/2 (彼女の眼は光の塔だ)/3 (おまえの手を憶えて……)/4 (雲たちのために……)/5 (一つ接吻するたびに)/6 (おまえ、孤りの女……)/7 大地は蒼い一個の……)/8 おまえの身体でぼくの……)/9 深い憩いの水底で生で……)/10 (霧氷の花々の中に……)/11 彼女は罠をかける……)/12 (井戸の奥の口がもつ……)/13 (微笑のうしろに……)/14 (眠りながらぼくは……)/15 (彼女はぼくの上に身を……)/16 (色をむさぼる口たち)/17 (ぼくのたった一つの……)/18 (震える肉のシュ《禾+未》に……)/19 (終りなき路の辺の)/20 (夜明けよ、ぼくは……)/21 ぼくらの眼はたがいに……)/22 (悲しみの通夜人のように……)/23 (ぼくの手からおまえの……)/24 (ひとが盲目の愛を……)/25 (ぼくはおまえと……)/26 (これ以上何も見えない……)/27 (烏たちが野面をうつ)/28 (恋の色 赤よ)/29 (一つの貌が 世界中の……)}
第二の自然
{1 (若さよ膝を折れ……)/2 (理由のない涙の海)/3 (孤独 この不在)/4 (右側のぼくは……)/5 (唖・盲・聾に敬意を……)/6 (生は不吉な戦争に……)/7 (夜を歌う無知が)/8 白い暗部/9 (森の 灼ける眼)/10 (いま小鳥たちは……)/11 (香りたちの色を……)/12 (偶然の鐘を乱打し……)/13 (死の疑念がいまいちど……)/14 (恥辱の昏い罠)/15 (弱々しい男性舞踊手が)/16 (鉛の罪もなければ)/17 (老いぼれた街と)/18 石の波に揺られる……)/19 (囚人たちが急に笑い……)/20 (かれらは光にもう……)/21 (嘆きで倍にされた……)/22 (真っ青な閂で……)/}
ただ一つのイマージュとして
{1 (ぼくは昏い宝ものを……)/2 (病人たちの枕もとに……)/3 (樹液たちの花束……)/4 (獲物を狙う甲冑……)/5 理解された入口/6 (フクロウ カラス……)/7 (孤独な男よ くちばしを……)/8 (きみは ぼくの家にいる……)/9 (雪の反抗)/10 (お前の饑えを……)/11 (静かな水の中の……)/12 通路の眺めが……)/13 (ぼくは苦悩の地下室……)/14 (庭園たちの襲撃に)}
知の擁護
{1 (ぼくはここにいない)/2 冒険が彼女の……)/3 (もどかしさに捉われ)/4 (ぼくが眠るときは……)/5 (習慣の一寸法師よりも……)/6 (夜 この世でいちばん……)/7 (なんという美しい眺めか……)/8 (ためらい絶望しそれでも)}
知の擁護
{1 (後退する展望……)/2 (最初の爆発でおまえの……)/3 (もはや永久に際限のない……)/4 (希望と絶望は消される)/5 (ぼくがおまえに話すこと……)/6 (ぼくの記憶がカルタを打つ)/7 (現実を隠匿する)/8 (おまえは応える……)/9 (ぼくはすこし気がるに……)}
【自然の流れ(抄)】
時もなく/一九三六年十一月/ゲルニカの勝利
【完全な歌(抄)】
ぼくらは存在する
【詩と真実42年(抄)】
自由/忍耐/もうすぐ/時を停める/日曜の午後/罪ではないのか?/灯をつつめ/飢餓を生き抜いた……
【ドイツ人の逢引きの地で(抄)】
告知/勇気/戦争の七つの愛の詩/詩の批評/殺す/八月盛夏/ガブリエル・ペリ/生きさせる/一九四四年四月に、パリはふたたび息づいた
【政治詩篇(抄)】
スペインに……/ポール・ヴァイヤン=クチュリエの思出に/時は実用的な真実を目的としなければならぬ/今日
解説 ポール・エリュアールについて