昭和5年 菊判 P282 全体にヤケ、少イタミ 函濡れシミ 本体元パライタミ ページ時代シミ
旧字旧かな遣い
「神道に於ける一神教思想発達の研究」の原題をもつ論文を改題し書籍化。
“本論文は一神教思想の発達を述べるのが目的でありますが、其の結果従来の疑問に一の新解釈を試みたものが若干あります、又研究の副産物として古来説明のつかなかった能登国須々神社が祭神瓊々杵尊で神職家が天鈿女命の子孫たるべき猿女氏である理由の説明がついたり、賀茂神社の祭神が未生であったのが明となったり、或は日吉神社の祭神の変更が僧侶の手に依るものとのみ考へさせらたものが、其の変更の原因が此神社の祭神自身にあった如き神社の由緒の明となったものもありと信じますが此等は思はぬ拾物と云ふべきでありませう…”(本書「凡例」より)
目次:
第一章 序論
第二章 気神
第一節 気神の性質
第二節 古代に於ける気神信仰の状態と餘神同化
第三節 古代に於ける気神の位地と外宮祭神
一 三女神所祭の気神/二 神代三鏡の気神/三 外宮鎮座の気神/四 気神の日神同化
第四節 気神の特殊神化
第三章 国土神
第一節 生産神としての国土神
第二節 人格神の国土神化
第三節 国常立命
第四章 産霊神の成立
第一節 産霊神の本質
第二節 産霊神の成立と気神
第三節 火神及国土神と産霊神
一 産霊神の発達/二 国土神の産霊神化/三 火神の産霊神化
第四節 産霊神と人間生成
第五章 日神の信仰
第一節 生産神としての日神
第二節 光熱の神火神
第三節 日神信仰と東方神聖の思想
第四節 日祭司職と日招き
第五節 日祭の意義
第六節 日招きと鏡及び鉾
一 鏡と霊代/二 鏡と日鉾との関係/三 鏡と日招/四 日招と鏡の懸掛
第七節 日神と皇祖神との融合
第六章 産霊神と日神の結合
第一節 天神
第二節 天御中主神の成立
第三節 天神の思想と産霊神及天照大神
一 最高神と産霊神/二 産霊神と日神の交替
第四節 神漏神の変遷
第五節 産霊神と諾冉神
第六節 日神及び産霊神の祭祀形式の融合
第七章 天照大神の人格的向上
第一節 罪悪観の進歩
一 自然的悪と其の除去法/神人関係の悪
第二節 天照大神と禍津日神
一 禍津日と直日の関係/二 禍津日神の同化/三 直日と天照大神
第三節 天照大神の道徳的政事的人格化
一 統一国家の思想/二 主権の主体たる天照大神
第八章 天照大神の統一的活動と諸神の同化
第一節 氏神の発達
第二節 總氏神思想と諸神の統一
一 天照大神の諸神支配/二 神々の協和
第三節 餘神の日神同化
一 出雲大社の日神接近/二 大神及び日吉社の日神同化/三 熊野神社の日神同化/四 諸神の日神同化と其の趨勢
第四節 朝廷に於ける統一神の神仰
第五節 参拝奉幣に現はるゝ統一神の信仰
一 私幣禁止の由来/二 参拝者の群衆