昭和55年初版 四六判 P484 帯付 函背ヤケ 本体小口少汚れ P233上角折れ跡
“20世紀文化のアルケオロジー
〈哄笑〉は、動脈硬化の制度を一瞬にして無秩序の深淵に突き落とす。その〈無意味〉の坩堝から蘇えるべきダイナミックな文化とは如何なるものか。周辺文化として、顧みられることの少なかったサーカス・道化・ドタバタ映画・演劇など、〈知〉の祝祭空間をみつめ、現代文化を活性化する〈仕掛け〉の文脈を追及し、刺戟的な文化理念を構築する著者の挑発的な最新評論集。”(帯文)
目次:
Ⅰ
道化は世界を動かす/笑いの人類学 コミック或いはコスミックな笑い/鬼と共同体/サーカスの詩学/サーカスの馬車/二〇年代からのメッセージ/女性 この「存在論的他者」/メリエスと世紀末の想像力/母たちの帰還/キング・コング或いは「相反するものの一致」/サーカスの挑発する空間 「フェリーニの道化師」/都市と祝祭/宙吊りになった劇空間 ロイヤル・シェークスピア劇団を見て/メイエルホリド或いは感受性の革命 生誕百年に寄せて/中国の不思議な王女と役人たち//ヴェーデキントの遍歴時代 一つのエピソード/一つの芝居を見るための様々な文脈 コメディア・デラルテとの出遭い/天翔ける道化/音楽と都市/レコードのなかの絵画 ペルゴレージ「恋する教団僧」/私のあふりか音楽/サティとその同時代人
Ⅱ
メディア その神話的起源 メディア考現学1/出来事としての展覧会 メディア考現学2/メディアとしての新聞の在り方 メディア考現学3/「負」のメディア学 メディア考現学4/メディアとエントロピー メディア考現学5/「ルーツ」現象とメディア メディア考現学6/気になる日本の政治風土 メディア考現学7/絵画芸術と報道 メディア考現学8/メディアとしての風景 メディア考現学9/祇園祭の鉾とスサノオ/方法としての「引用」/「ウツル」に見る言葉の演劇性/文化と異人《ストレンジャー》/スキャンダルの詩学/「生活」の科学と想像力/神話的感受性の帰来/知的感受性の二つの型/E=プリチャード卿の死と人類学の新しい方向/痴愚も知のうち/学問はやるにあたいするか 文化展望/社会科学と危機的想像力 文化展望/追いつめられた総合雑誌の華麗な変身? 文化展望/脱国籍のための技術/余暇と学問/生き物としての文章
Ⅲ
シェークスピアとの出会い方/古典学と人類学/古典研究のための人類学の古典/古書目録を読む 本の世界のコミュニケーション/ケストナーに始まりダールに終わる 私の蔵書整理法/小林秀雄『本居宣長』を読む/世代論の再燃のために 回想の花田清輝/周縁性の文学 夢野久作/道化的世界/P・D・シンマーマン『マルクス兄弟のおかしな世界』/岩崎武夫『さんせう太夫考』/J・W・ミーカー『喜劇としての人間』/フーゴ・バル『時代からの逃走』/E・イヨネスコ『発見』/『ジャン・ルノワール自伝』/E・バーナウ『世界ドキュメンタリー史』/戸井田道三『演技』/シビル・モホリ・ナギ『モホリ=ナギ』/W・マッケイ『夢の国のリトル・ニモ』/J・ワルノー『洗濯船』/G・コキオ『回想のロートレック』/武田秀雄のフィールド・ワーク/B・エイヘンバウム『若きトルストイ』/フィリップ・ロス『われらのギャング』/小説の仕掛けと文化の仕掛け バルガス=ジョサについての巨視的寸言/R・コーソン『メガネ博物誌』/E・R・ドッズ『ギリシァ人と非理性』/本田和子・津村真『保育現象の文化論的展開』
出来損ないの時代についての五つの断章(あとがきに代えて)
初出誌一覧