1998年初版 A5判 P345+索引P4 カバー少キズ、背ヤケ大

歴史学・中世史学の立場から日本の神話・説話・民話を分析し、それらが生まれる「宗教」「文芸」「民衆的生活意識」という意識の領域が相互に関与する「場」や「語り」のあり方、物語を通じて見えてくる中世の有り様について考察する。
目次:
はじめに
Ⅰ 神話の世界と中世
第一章 『竹取物語』と王権神話―五節舞姫の幻想
{はじめに/1 王の恋愛/2 天皇・天女・神仙思想/3 天武王統と王女・阿倍の五節舞/4 都市宮廷の成立と五節舞姫/5 かぐや姫幻想と露面の少女}
第二章 『彦火々出見尊絵巻と御厨的世界―海幸・山幸神話の絵巻をめぐって
{はじめに/1 吉野御厨と亀甲・贄矢/2 門送りと「奴」の礼/3 若狭国鎮守一・二宮と海上他界}
第三章 巨柱神話と天道花―日本中世の氏神祭と農事暦
{はじめに/1 「天道花」と初夏の農事暦/2 玉箒と春の野遊び/3 巨柱神話の残像/4 荒神と手草}
補論 歴史学にとっての柳田国男
Ⅱ 中世説話の世界
第四章 内裏清涼殿と宮廷説話
{はじめに/1 天皇の観閲行為―殿上の御倚子/2 天皇の覗く行為―小蔀/3 殿上人と殿上起請}
第五章 説話「芋粥」と荘園制支配―贈与と客人歓待
{はじめに/1 荘園制支配の人的性格と贈与・給養/2 荘園制的客人歓待と共同体/おわりに}
第六章 虎・鬼ヶ島と日本海海域史
{1 「征新羅将軍」藤原利仁/2 日本階の海民と海上他界観/3 日本海交易と虎皮/4 「虎」と武士/5 鬼ヶ島と鞍馬寺・義経/6 毘沙門天、福と鬼}
第七章 領主本宅と煙出・釜殿
Ⅲ 中世民話の世界
第八章 腰袋と『桃太郎』
{はじめに/1 中世民衆と腰袋/2 桃太郎民話の諸要素/3 桃太郎と一寸法師}
第九章 『ものぐさ太郎』から『三年寝太郎』へ
{はじめに/1 物ぐさ太郎論の批判的検討/2 物狂なる太郎たち―三年寝太郎の原像}
第十章 秘面の女と『鉢かつぎ』のテーマ
{はじめに/1 女性の姿形と外歩き/2 「鉢かつぎ」の物語るもの}
あとがき
論文初出一覧
索引(事項・研究者名)