1994年初版 四六判 P373 帯およびカバー裏下部に2cm程の破れ
目次:
ピンチョンなんか怖くない
STAGE Ⅰ ゲイ、パンク、そして、アヴァンポップ
ゲイ・カルチャーは、ぼくらの“テクスト”/ニューヨークのゲイ・ライフ/ぼくがゲイ・フィクションを読む理由/もし中年男が愛の奴隷になると/マドンナも顔負け、パンク娘の過激なパフォーマンス/女のための、いや男のための究極の「青春小説」/というか、そんなことなどどうでもいい/過激でコミカルなパンク小説で、頭の中もリフレッシュ/若い作家たちは、この不良爺でも見習ったらいい/テクノ・アヴァンポップ・ライターの登場/新しい「南部作家」の誕生/誰もが知りたがらないから、オレは知りたいんだ/トリップ(幻覚)を起こさせる文学
STAGE Ⅱ ピンチョン、グーヴァー、そして、メタフィクション
ピンチョンの手紙を待ちながら/勝手にしやがれ/母を探しながら、娘は謎の六〇年代にワープした/あるポストモダン作家の来日/逸脱のパラドックス/ヴェニスのピノキオ/マゾヒストたる読者の「お務め」とは/オジサンもカッカと燃えているんだよ/こんな傑作が最初で最後の小説だったなんて/愛の遍歴と自己模索の旅/果てしない旅が作家をつくりだす/偉大な作家の革命は永遠に終わらない/ポストマルクス主義者によるポストモダン作家論
STAGE Ⅲ エリクソン、オースター、そして、グロテスク
その文体にはあのオースターも舌を巻いていた/ルビコン河を渡る幻視者/きわめて倫理的なメタフィクショナル・ポルノグラフィー/性愛か制度か?どちらか一方を選べれば、ことは簡単なのだが……/どうしてぼくはハマってしまうのか?/失われた時を求めて、三千マイルの旅に出た/バーセルミもカーヴァーもこの世を去った、短篇の名手はこの人しかいない/絶望は深く、笑いは高らかに/「南部」は狂気と創作のメッカです/それこそ、短篇の名手の御家芸/じれったく倒錯的なロマンスもまたいいものだ/死者の祝福
STAGE Ⅳ ハルキ、カーヴァー、そして、ニューリアリスト
日本においてカーヴァーを語るとき、村上春樹がそこにいる/ザ・モダン・モラリスト―R・カーヴァーと村上春樹/少年は荒野をめざす/文明病をコミカルに描く/洗練されたブルーカラー小説/“リッチ・ボーイ”の生態/ヤッピーよ、さらば
STAGE Ⅴ エッセイ・コラム・アラカルト
ポルノグラフィー礼讃/図書館か、それともペーパー・シュレッダーか?/作家と精神病と自殺/殺人と文学/サルマン・ラシュディ、きみもかッ!/ニューヨーク、ニューヨーク/辣腕編集者の新たな挑戦/汝地震を救え/小説家は皆「ジャーナリスト」にならなきゃいけない、なんて……/ディズニーワールドだけがマイアミじゃない/これはウルトラ・ベスト、80年代を総括する短篇集/マイナーな文芸誌は、あっと驚く特集で勝負する
STAGE Ⅵ 附録
現代アメリカ文学ベスト50―短篇小説/現代アメリカ文学ベスト50―フィクションとノンフィクション
巻末に初出一覧、書名・作家索引を収録