
1991年 B5判 ノンブルなし カバー少イタミ
宇野亜喜良が20代の頃に描いて30年余り出版されないままだった「せむしの小馬」のイラストを、舟崎克彦の文とともに絵本に仕立てた一冊。
“戦後、 はじめてみたソビエトのアニメーション映画に「せむしの小馬」があり、ロシア語の独自のリズムと声量あふれるナレーションではじまる変化に富んだ話は、渋い色彩できわめて演劇的なしぐさで動く、それぞれのキャラクターによって感動的なものでした。
二十代のころ、 出版はされなかったけれど、十五枚ほどの絵本の絵を描いたほどの思い入れようだったのです。 ―「図書」 (岩波書店)より抜粋―
こういう文章を書いたあと、その絵をそのままで、しかも舟崎克彦さんの文章で出版していただけるという話が舞いこんできました。 まるでひそかに、ぼくがせむしの小馬を飼っているような幸運のめぐり合わせです。
しかし、お話を語る絵としては枚数がたりない上に、当時大好きだったアメリカの画家アリスとマーチン・プロバンソンにべったり影響を受けたイラストレーションなのだけれど、それでも、この本はぼくの青春の記録でもあるので、新しく描きたしたり、手を加えるようなことは意識的に避けました。
今の若い人たちに楽しんでもらうことができたとしたら、最高の幸せです。 宇野亜喜良 ”(カバー裏側袖紹介文)