
昭和9年3版 四六判 P350 函欠裸本 全体に経年によるヤケ、汚れ 表紙剥がれ 背革装・天金 別紙校訂表付
“「百鬼園随筆」は図抜けてみんな旨い、そしてどの小品も面白い。第一、随筆につきもの気取りや知ったか振リや風流がつたりしてあるところは微塵もない、厭味やあくや毒気がない、すつきりリしてゐて中身が一ぱいにつまつてみる。……読んで笑ひをふくませてくるといふことは、作家の徳の致すところであつて、凡手ではこの境に至れない。……大衆小説は百頁読んで一頁も頭に残らないが、内田百閒は九十九頁まで頭に残る作家である。僕はこの人に学ばう ときさへ思ふのである。とにかく「百鬼園随筆」は読んで僕はよかつたと思つた。かういふ名著を読み落したら残念である。読者よ、うそだと思ふなら立読みしてもいつの間にか五六ページ読み進んで行かせる書物である。(室生犀星)”(広告文)
目次:
短章二十二篇
{琥珀/見送り/虎列刺/一等車/晩餐會/風の神/進水式/羽化登仙/遠洋漁業/居睡/風呂敷包/清潭先生の飛行/老狐會/飛行場漫筆/飛行場漫録/嚏/手套/百鬼園先生幻想録/梟林漫筆/阿呆の鳥飼/明石の漱石先生}
貧之五色揚
{大人片傅/無恒債者無恒心/百鬼園新装/地獄の門/債鬼}
七草雜炊
{フロックコート/素琴先生/蜻蛉玉/間拔けの実在に関する文献/百鬼園先生言行録}
百鬼園先生言行餘録
梟林記