
1997年 四六判 P259 カバースレ、少汚れ、端少イタミ
“…『サラムボー』は、フランスの歴史小説というとかならず引き合いにだされるほど、文学史において重要な位置を占める作品だが、それにもかかわらず、フローベールの作品全体のなかでは、おそらく、いちばん不遇な場所に追いやられている小説である。…〈略〉…だが、フローベールにとってこの小説は、ある意味で、自分自身の「夢」にもっとも忠実にしたがった作品だった。…〈略〉…そうだとすれば、フローベールの小説美学にかかわる夢は、おそらくこの作品においてもっとも明瞭なかたちで現れているのではないか。…〈略〉…そのような『サラムボー』のテクストを読んでゆくことによって、フローベールのエクリチュールの革新性のある側面をいくらかでも明らかにしてみたい。…”(本書「はじめに」より)
目次:
はじめに
第一章 カルタゴの城壁の下で ……空間について
第二章 壁の変容 ……物語について
第三章 無力なことばと不実なことば ……会話について
第四章 声とテクスト ……語りについて
註
あとがき