
昭和50年再版 四六判 P215 帯およびカバースレ、少汚れ、背少ヤケ、カバー上端破れ補修、袖折れ跡 天地小口ヤケ
“幻想小説の巨匠 ジャック・フィニイの最新作!
壁にのこるルージュの文字がいざなう、過去と現実の交錯するミステリアス・ゾーン。郷愁の作家フィニイが、ファンタジーの翼にのせて贈る魅惑の幻想世界!”(帯文)
““マリオン・マーシュここに住めり・・・” 二ックと妻のジャンが、借家の古い壁紙の下に見つけた口紅のなぐり書き。
その落書きは、かつてこの部屋に住んだ女優志願の若い娘が残したものだった。彼女マリオンは無名の大部屋女優だったが、その才能を認められていよいよハリウッド入りという前夜に、自動車事故で急死してしまったのだった。
落書きを見つけた数日後、偶然にも二ックとジャンは「燃える女」という古いサイレント映画をTVで見た。それこそマリオンが出演した最後の映画だった。ほんの端役だったが、マリオンの印象は鮮かだった。TVを消したあともマリオンの面影はニックの脳裏を去らなかった。
そのとき、ほの暗い部屋のどこかからニックに囁く声がした。部屋にはジャンしかいないのに、それはジャンの声ではなかった。「ニック、わたしよ」そこにいるのはマリオンだった! ジャンの体にマリオンの霊がのり移っているのだ!
ファンタジーの第一人者ジャック・フィニイが新境地を拓く意欲作!”(カバー袖紹介文)
巻末に「解説 ―フィルム・マニアの世界」(清水俊二)、「あとがき」(訳者)を付す。